お子様の歯並びに影響する口腔機能発達不全症とは?

口腔機能発達不全症とは?

口腔機能発達不全症とは、18歳未満の子どもで、生まれつきの障害がないにも関わらず、食べる、話す、飲み込むなどのお口の機能が十分に発達していない状態をいいます。

  1. 哺乳量・授乳回数が多すぎたり少なすぎたりムラがある
  2. 離乳食が進まない
  3. 食べ物の噛み方がおかしい
  4. 食べるのに時間がかかる
  5. 食べるときの飲み込み方がおかしい
  6. なかなか飲み込むことができない
  7. 丸飲みしてしまう
  8. 食べこぼすことが多い
  9. 発音がおかしい
  10. いつも口を開けて(お口ぽかーん)息をしている
  11. 指しゃぶりをやめられない
  12. その他の口唇や舌の癖がある

臨床の現場でも、約2人に1人くらいの確率で何らかの口腔機能発達不全の症状を見かけます。

口腔機能発達不全症を予防するためには、妊娠中から離乳食卒業後、学童期までの各段階での親の関わり方がとても重要です。

【妊娠中】

  1. 栄養バランスのとれた食事      → 胎児の歯や口腔、顎の発達に関わるカルシウム・ビタミンD・マグネシウムなどを意識して摂取する。
  2. 喫煙・飲酒の回避
    → 先天異常や低体重出生のリスクを減らす。(顎の発達にも影響する可能性があります。)
  3. 早産・低出生体重児の予防
    → 小さく生まれると顎・筋肉が未熟になりやすく、口腔機能の発達に影響を及ぼすことがある。

【授乳中(新生児期~乳児期初期)】

  1. できるだけ母乳育児を推奨
    → 吸啜運動(乳首を吸う口周囲の筋肉を使う)を通じて舌・顎・口周りの発達を促す。
  2. 哺乳瓶の選び方や使い方
    → 乳首の形や硬さに注意し、舌や口の動きを自然に引き出せるタイプを選ぶ。
  3. 授乳時の赤ちゃんの正しい姿勢
    → 赤ちゃんの頭と体をまっすぐに保ち、鼻呼吸を妨げないようにする。
    → 抱き方が偏ると、顎の成長の左右バランスが崩れることがある。
  4. お口ぽかーんと開けていないか観察  → 授乳時や寝ているときに口呼吸していないかチェック。

【離乳食中(5~18か月ごろ)】

  1. 発達段階に合った食べ物の固さ・大きさを与える
    →離乳食初期はドロドロ状→中期は舌でつぶせる固さ→後期は歯ぐきでかめる固さと段階的に進める。
  2. 「唇・歯・顎」をよく使う食べ方を意識する
    → スプーンでの与え方も重要。口の中に流し込ませるのではなく、本人が上唇で口の中に取り込ませることで、口の筋肉を育てる。
  3. 座位姿勢の安定
    →両足がしっかり床または台につくようにする。(姿勢が崩れると噛む力が育ちにくい)
  4. しっかり口を閉じてモグモグしているか(咀嚼できているか)確認。
    → 口が開いたままモグモグしている場合は、咀嚼機能が上手く育っていない可能性
    がある。

【離乳食卒業以降(1歳半~幼児期) 】

  1. よく噛んでからしっかり飲み込む習慣をつける
    → 柔らかすぎる物ばかりでなく、歯ごたえがある食品も取り入れる。
  2. 口呼吸の習慣を防ぐ(口を閉じて鼻呼吸をする)
    → 鼻づまりやアレルギーがあれば耳鼻科受診をして、しっかり治す
    → お口ぽかーん(口呼吸)が続くと、歯並びや顎の成長、舌の筋肉の成長に悪影響。
  3. 遊びやおもちゃで「口の周りの筋肉」を使う
    → 吹く・吸うおもちゃ(笛、吹き戻し、ストロー、シャボン玉)などで遊ぶ。
  4. 生活習慣や姿勢、癖の見直し
    → 頬杖をつく・うつ伏せ寝・スマホやゲーム器械使用時の猫背やうつ向き姿勢などに注意。
    → 正しい姿勢が口腔発達にも直結する。
  5. よくしゃべる・歌う・笑う環境を作る
    → 舌や口の動き、表情筋の発達を促す。

【学童期(6~12歳ごろ)

乳歯から永久歯への交換や口腔機能が成熟し、将来の歯並びに影響する大事な時期。予防のための親の関わりがまだまだ必要です。

  1. 噛む力を育てバランスの良い食事習慣
    →左右両側で噛む癖をつけ、硬さや大きさにバリエーションのある食事を心がけ、左右の顎のバランスの良い成長を促す。
    → 噛む回数を増やすことで唾液を分泌させて、口腔自浄作用が促進し虫歯を防ぐ。
  2. 口呼吸の習慣を防ぐ(口を閉じて鼻呼吸)
    → 鼻づまりやアレルギーがあれば耳鼻科受診をして、しっかり治す。
    →口を閉じて 鼻呼吸の習慣が身についているか日常的に観察する。
  3. 正しい姿勢をしているか。
    → 猫背やうつ向き姿勢(スマホ・ゲームなど使用時)をしていないか。
    → 両足が床につく椅子・机の高さ、食事の時の姿勢を整える。
  4. 発音・会話の習慣
    → 舌の動きや発音に異常(サ行・タ行の発音が聞き取りにくいなど)があれば早期対応が必要。
    → 日常でよく会話する・音読・歌などで舌や唇の動きをしっかり動かすトレーニングをする。
  5. 歯並びと顎の成長のチェック
    → 永久歯の生え方や顎の成長に問題がないか、定期的に歯科で検診をする。
    → 指しゃぶりや爪噛み、唇噛みなどの口腔悪習癖がある場合は、やめるように注意をする。

お子様の口腔機能の発達についてご心配事がございましたら、当院にお気軽にご相談ください。

さとう歯科クリニック

ブログ一覧に戻る